外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会④

投稿者: | 2015年3月6日

 

先日「外国人介護人材受入の在り方に関する検討会」の中間まとめが先に発表されていますが、まだ公表されていなかった議事録が出ましたので内容を見てみました。
・外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会(第6回議事録)
・外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会(第7回議事録)

 

実施に当たって懸念されている内容

技能実習制度に「介護」を追加し、外国人労働者を受け入れることについて議論をしているこの検討会。個人的には以下の2点が最終的にどのような形で落ち着くのかが気になるところです。

○受け入れ外国人の日本語要件
特に第6回の検討会において、日本語要件について活発な議論が行われていたようです。(~と~の間の文章は議事録より抜粋)

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「N4」か「N3」かという話がございました。今、1年目終了時の目標だとお聞きをしましたので、そういう点では違うかもしれませんが、私ども経営協の会員の中からの意見としましては、1年目「N4」ではここに書いてある「指示のもとで仕事ができる」というのが、懸念としまして、EPA等で受け入れた施設の職員の経験から、「N4」ではなかなか指示が理解されないのではないかという危惧を持つということが意見として出ておりました。
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既にEPAでの来日者を受け入れている施設の声は非常に重要だと思います。なぜなら試験の合格基準で○○程度の日本語力といったようなものではなく、経験に基づく発言だからです。ここでまず事業者側としては「N4」レベルでは不十分だとしてそのレベルでの技能実習生受入れを懸念しています。

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第2回検討会では、EPAによる外国人介護人材受入について、団体の方々からヒアリングが行われました。そのときも意見として、またデータとしてもありましたが、就労開始時に必要な日本語レベルとして「N3」が73.2%、介護業務を任せられる日本語レベルとして「N2」が52.4%、「N3」が35.2%というデータが出ていた
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上記も関連しますが、EPAによる候補者を受入れている団体で、就労開始時に必要な日本語レベルとして7割以上が「N3」と回答しています。つまり「N4」レベルでは不十分という事です。

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災害などの非常時の対応ということだけでなく、日常の介護業務の段階においても「N2」レベルというのは当然必要になっているのではないかと考えている
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そして戦力として任せられる日常の介護業務においては「N2」レベルが求められるようです。

また日本語教育を行っている介護福祉士養成校の意見として、

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「N4」「N3」のことなのですが、「N3」で来て、そして実習前講習を受けるとすると、相当理解が進むだろうと思います。「N4」でどうだろうか。漢字圏の方だと「N3」「N2」になっていくのには非常に漢字が役立ちます。それが非漢字圏になると、漢字のヒントがないので「N3」と「N4」の違いが非常に大きいのではなかろうか、入国時に「N3」のほうが講習のときには格段に理解が進むと思います。それで「N4」であれば、日本語がわからないという難点をどのようにクリアできるかということが課題1年目の終わりの時点で「N3」をとっていなかったらどう制度設計されますか。これも仮定として、2年目の終了時に「N3」をとっていないのだったらどうされますか。この制度設計をどうするのだ。これは具体的には非常にしんどい内容を含んでいると思います。現実には「N3」取得者を集めてくるということも非常にしんどいです。
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インドネシアは母国語がアルファベットの国ですから、この方の発言にある非漢字圏の人達です。そして私が40を超えるインドネシアの日本語学習者がいる大学を訪問し、先生や生徒と話をしてみた印象ですが、発言にある「現実には「N3」取得者を集めてくるということも非常にしんどいです。」これはまったくその通りだと思います。

日本語を専門的に学んでいる人たちでさえ「N3」取得に数年かかってますし、本人のやる気や大学の卒業要件にもよりますが、卒業時に「N3」レベルに満たない日本語力の人もいます。そもそもそのような生徒は途中で他の学部へ転籍してしまったり学習を諦めてしまう人もいますが。

いずれにしても大学進学者は経済的余裕がある事はもちろんですが、試験をパスしてきている人達ですから優秀な人が多いわけです。その人達でさえそのような状況であるのが現実です。

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中国人留学生を募集するのに、私どもは介護福祉士の養成課程に入れたいと思っていますけれども、「N3」で日本語学科に入学してもらい、介護福祉学科には「N2」を条件として入学してもらいます。介護福祉学科は、日本人が講師です。日本語の教科書です。この授業を理解する為には「N3」ではどうにもならない。日本人だってわからない授業は寝てしまいます。日本語がわからない場合は、留学生は熱意があっても90分の授業が耐えられないで寝てしまうという現実が起こりますので、私どもの学校では「N2」を条件にして介護福祉学科に入学させます。

そういう意味において、「N4」「N3」「N2」というのは非常に大きい違いがあるだろうと思うのです。制度設計のところで1年目に「N3」にならなかったら母国に帰すのですか。もし2年目に「N3」にならなかったら帰すのですか。実習生本人が日本語を理解できないのに、来日時の講習をどれだけ理解できるかが大事なところだろうと思います。そういう意味で、本当は「N3」で来るほうが実習生にとって楽だと思います。
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実際は「N2」レベルの日本語があれば日本語を使う仕事、あるいは他に専門があればその仕事に就ける可能性は十分に出てきます。それでも「介護の仕事をしたい」という人達がどれ程いるのか。私はそれ程多くないのではないかと考えています。

○監理団体の監理の徹底
技能実習制度については、強制的な違法な天引きやらパスポートを取り上げられるといった受け入れ側の不法行為等、国内のみならず海外からも批判を受けているのが現実です。結果生活がままならず犯罪を起こしてしまう人達もいて、実態を知らない日本人が外国人が増えると危険だという発想に繋がってしまっている部分も少なからずあります。

そして今まで受け入れていない「介護」の資格を新設し受け入れた場合、監理体制は大丈夫なのか?という事についても懸念点があげられています。

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やはりいかに正しい制度をつくる、国際貢献だと言ったとしても、それが繰り返しそうではないような実態があらわれてきたことからすると、現在の監理団体のあり方というのは極めて不十分ではないかと考えているところであります。介護保険制度という観点から言いますと、これも前回言いましたが、やはり自治体による指導監査というのはかなり厳しくやられており、例えば記録が書かれていない場合、少し悪質であれば不正請求として返還という形になりますし、もっと言えば事業停止ということにも至るという厳しい制度となっています。それはなぜかというと、介護としての質を担保するという意味で、こういう制度をつくってきているというのが介護職場の現状であると思っています。
一方で、技能実習制度は先ほど言ったような問題点が制度発足以来あり、今度の管理団体の在り方も具体的な対応が全く見えない。もっと言えば、新たな制度管理運用機関というのはどのような権限があって、公法人なのか、公法人でないのか、人員体制はどのくらいなのか、また予算はどうなのか、全く見えない中では「いいですね」とはなかなか言えないと思っております。

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制度及び運用、監理体制について十分でない為、実際に受け入れた場合の懸念、不信感すら感じられる発言です。

 

本音と建前で議論がかみ合わない

既に7回にわたっての議論が行われている検討会ですが、基本的なスタンスは下記の通りです。

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技能実習制度は、技能移転を通じた「人づくり」に協力することが基本理念である。そして、日本は高齢化が進んでおり、日本の介護技術を海外から取り入れようとする動きも出てきている。こういった状況の中で、我が国の介護技能を他国に移転することは国際的に意義がある。
一部のマスコミ関係では、介護の人材不足のために今、技能実習制度を活用するみたいな話が出ていますけれども、それは決して、そうではないということをしっかりと確認させていただきたいと思っています。
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「人材が足りないから外国人を受け入れたいが移民としては受け入れたくない」と言うのが本音としてあり、「それならば日本の介護技術を学びに来てもらうという事にして、技能実習制度で受け入れましょう」と言うのが建前です。

もちろん急速に少子高齢化が進む日本では、介護に関する制度や技術等これからさらに充実する事は考えられますし、学んだ事を自国で活かせる人達もいると思います。しかし、果たしてそれが本当の理由だとはとても思えませんし、だからマスコミは「人材不足」という表現を使っているわけです。

10年後に30万人の介護人材が不足する事、そして少子化の改善の見込みがない以上人材不足以上に大きな受入れ理由は考えられません。ですから建前論で検討会の話し合いが進められている、つまり結論ありきの話し合いが行われているようにしか見えません。

さすがに現場側のメンバーの方々も、受け入れた場合を想定し改善を要求しています。

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私たちは研修生を受け入れて、その方々を育てていくという立場でございます。その立場で言えば、ちょうど今は受験シーズンで、大学側が合格点を下げれば、人はたくさん入学できますが、受け入れた後、それらの学生を教えるのは大変だなという印象です。「N3」を「N4」にするというのはまさにそれと同じであって、基準を下げた分は、受け入れた我々が責任を持って育てあげるという義務を負うことになります。逆にいい成績の者を集めれば、教えるのは楽かもしれませんが、是非、日本で研修したいという実習生を拾い上げて、支援していこうというのも、技能実習が目指すものかなと思っております。
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質を落とせば数は増えます。しかしそれで現場運営が円滑にできるかというと、より難しくなるのは明らかです。

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繰り返しになりますが、技能実習制度がたび重なる制度改定にもかかわらず運用が改善されていないということからすれば、新たな制度ができたとしても、本当にそれが適切に運用されるかというのはやはり実証していかなければ分からないと思います。介護分野への受入についてはさまざまな懸念があるということから、さまざまな条件が記載されております。それがしっかりと本当にクリアできるかというのは、やはり本体の技能実習制度の運用が本当に適切にされるかということを、しっかりと見きわめていかなければならず、安易に対象職種に介護を追加することには問題があると思っておりますので、意見として申させていただきます。

最後に、本当にこの状態のままでは、連合としては介護職を追加するということについては、改めて反対をさせていただきたいと思っています。
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そして検討会の最後に明らかに反対意見を表明しています。

果たしてこのまま結論ありきの話し合いが進められ決定してしまうのか、あるいは大幅な修正、あるいは議論を尽くして技能実習生として受け入れるのか。引き続き動向を見守っていきたいと思います。

安易な内容で受け入れてしまえば、現場の負担は大きく十分な対応ができず混乱をまねく可能性があり、また日本語能力が不十分だと来る本人にとっても滞在中十分に介護を学んで帰国するのは難しいでしょう。

最終的に技能実習生として受け入れるにしても、現場レベルの話まで想定して内容を決めなければ思うような成果が出ないのは間違いありません。