外国人労働者が増えることによる日本人への影響

投稿者: | 2014年4月13日

 

 

外国人労働者の受入れと「研修・技能実習制度」の問題点

最近外国人労働者に関するニュースを良くみかけるようになってきました。外国人労働者の受入れについてかなり保守的であった日本も、そろそろのんびりしていられない状況になってきたということでしょう。

外国人材、農業・製造業で短期就労を 諮問会議で新制度提言(日本経済新聞:2014年4月3日)
外国人労働者受け入れ拡大へ 安倍政権、まず建設業(朝日デジタル:2014年4月4日)

復興やオリンピックへ向けての建設業界の人材不足を補うため「研修・技能実習制度」の枠組みの中で、滞在できる延長できるようにするという内容で議論が進んでいるようです。

今回の議論でまず違和感を覚えるのは、既に人手が必要な状況であるにもかかわらず、「研修・技能実習制度」での受入れをするという話になっていることです。そもそも「研修・技能実習制度」は、『我が国で開発され培われた技能・技術・知識の開発途上国等への移転等を目的として創設されたもの』とされています。

研修・技能実習制度について(法務省)

今回は即戦力としての人材を求めているわけですから、日本のために再入国を認めて再度来日してもらうというのは制度の趣旨と異なりますしおかしな話な気がします。「研修・技能実習制度」に当てはまらない人であっても技術がある人に関しては受け入れる形にすべきではないでしょうか?明らかに日本に都合の良い形で受入れようとしているわけです。

そもそも「研修・技能実習制度」は評判がすこぶる悪いです。一部の経営者が低賃金で労働力を確保するために制度を悪用し、さらに長時間労働や賃金の不払いが問題になっています、これこそまさにブラック企業と言えるでしょう。結局日本での生活が苦しくなり、犯罪に走らざるを得ないという人もいるようですし、結果として外国人労働者に対して日本人はマイナスイメージをもってしまいます。

海外でも日本の「研修・技能実習制度」には問題が多く廃止すべきだという声もあります。実際日本で得た技能を帰国後どれほどの人たちが活かせているのでしょうか。多少は改善が進んでいるようではありますが、今後外国人労働者受入れ拡大をしていくのであれば抜本的な見直しが必要でしょう。

 

人材不足の理由として考えられること

公共事業が減ったことにより担い手が不足する結果となった、という話もあります。もちろん仕事が減ったことにより労働者が減ったという事実はあるでしょう。しかし、理由はほかにもあると思います。

その理由として、
①従来よりも職業の種類が増えていること
日本が高度成長期でいろいろなものを建設している頃、今ほどはサービス業もここまで広がっていなかったでしょうしIT分野の仕事はありませんでした。しかし現在はこれらの業界による求人が多く、また将来を考えてIT業界に就職したいという人が増えていることも事実でしょう。結果として重労働を伴う建設業は不人気となっています。

②労働者の高学歴化が進んでいること
大学全入時代と言われるほど今の日本の進学率は高くなっています。大学卒業後に建設業界に入る場合、普通に考えるとゼネコンのような大企業であったり、それほど大きくなくても事務職としての採用がほとんどでしょう。

一方で、建物を建てる、物を作る作業そのものに従事するようないわゆる職人の方たちは、私達世代であれば高卒の方達が多いのではないでしょうか。そして今ほど進学することが一般的でなかった時代は中卒でこの道に入る人もいたでしょう。

大学を卒業して職人になりたい、という人はほとんどいないと思います。職人になりたいなら大学に行く意味もないでしょうし早く現場に入って仕事をしながら勉強するのが一番早いわけですから。日本人はなかなか職業に関して小さい頃から考える機会がないことも影響していると思います。

③相対的に大変な仕事(3K)を避ける傾向にあること
現場での仕事は相当大変でしょう、私はアルバイトでも経験はありませんが完全な肉体労働です。以前日本でバレーボールの地域のクラブチームに所属していたのですが、そこには多くの職人の方がいました。

その人達は既に40歳くらいであるにもかかわらず明らかに体つきが違いました。まず喧嘩したら勝てないですし、そもそも喧嘩したくない、そんな体格の人達ばかりです。実際に握力が70キロある人もいました。特に筋トレをしたわけではなく、ただ仕事をしていただけでそういう身体になったそうです。

仮に筋トレしてそこまでの身体にしようと思ったらかなりの努力が必要だと想像できます、つまりそれほどしんどい仕事だということでもありますし、他に仕事を選択できるのであればキツイ仕事を避ける人が多いのもうなずけます。これは建設業に限らず介護の人材不足についても通じることだと考えられます。

 

外国人を受け入れる必要性

先ほどの「研修・技能実習制度」の話題に戻りますが、既にこの人達無しでは成り立たない職場も存在しています。

先日友人から聞いた話ですが、友人の実家は広島県のとある島にあるそうでそこでは「牡蠣の養殖」が盛んに行われているそうです。しかし、若い人達は高校を出ると島の外に出て行ってしまうために、日本人だけでは島の産業を維持できない状態にあるため、研修生を雇って牡蠣を生産しているそうです。友人は「彼らがいなくなったら東京でみんな美味しい牡蠣も食べられなくなるんだよ」と言っていました。

これは本当に深刻な問題で、過疎化が進み若い労働者がいなくなると当然事業が回らなくなり廃業せざるを得なくなるわけです。そうすると無収入になり生活に困り最終的には生活保護を受けざるをえないことになる、ということも十分に考えられます。場合によっては廃業することにより日本の文化が途絶えるような仕事も出てくることも考えられます。日本人が受け継げるのがベストですが、誰もいなければ外国人でやりたい人が受け継ぐ可能性だってあるわけです。

しかし研修生を受け入れることで事業を継続できれば、本人たちも生活できますしそして研修生も技能を身につけられるとともに、祖国以上の収入を得ることができるという関係にあります。「労働者の需要がある場所で日本人がやらないので外国人が働いている」、このような状況が地方ではいろいろなところで既に見られるようになっています。

 

外国人受入れ拡大後に考えられること

建設労働者、それから今後増えるであろう介護業界での受入れ等、当面受入れはブルーカラーでの仕事でしょう。基本的に日本人が敬遠しがちな仕事で人手が足りないところを助けてもらうような形になります。

そしてその受入れがある程度進んだ後、ホワイトカラーの仕事についての受入れも徐々に広がると考えています。言い方は良くないですが私達日本人は新興国や途上国の方達のことを下に見ている人も少なからずいるでしょう。それは今まで日本に外国人が少なかったことも関係していると思います。

しかし、外国人が増えその仕事ぶりから能力が高い人材が注目することは十分に考えられます。そしてその人達はブルーカラーとしてではなく、ホワイトカラーとして日本で仕事をすることになるでしょう。そもそも日本は既に高度人材については積極的に受け入れる方針を掲げているからです。

高度な能力や資質を有する外国人(高度人材)の受け入れを促進するため、出入国管理上の優遇措置が始まりました(2013年5月)

この高度人材は主に先進国労働者を対象としていると考えられますがこの優遇措置とは関係なく、単純に従業員で優秀な人がいればより重要な仕事を任せたくなるのは当たり前のことです。これほど優秀な人がいるならもっと雇ってみようという動きが出てくることは十分に考えられます。

つまりブルーワーカーの受入が拡大された結果として、その先に日本人も就きたい仕事であるホワイトカラーの仕事について外国人との競争が始まるのではないかと考えいます。そしてその職に付けなかった人は結局低賃金のブルーカラーの仕事をせざるを得ないということになり、しかもそこでも同じように外国人労働者との枠の競争があるわけです。ですから仮に日本で働き続けていたとしても外国人労働者と競争することは避けられないでしょう。

外国人が日本で働くためには日本語はもちろん、母国語、それからここインドネシアの高学歴者は英語もできますので3カ国語を使うことができます。もちろん語学だけで能力を判断できませんが、日本人もいろいろスキルを磨かないと仕事に困る可能性は十分にあります。さらに格差が広がることが考えられますが、それでも諸外国に比べたら微々たるものだと考えられますし、日本もいよいよ世界の標準的な状況に近づいていくことになるのではないかと思います。

政府は受入れ拡大の方向で動いていますが仮に日本人がNOを突きつけたならば、人口が減少する中で労働者は重い税や社会保険料の負担を強いられながら、さらにブラックな環境で働かざるを得ないでしょう。

衰退する中で貧しくなることを受け入れるのか、それとも外国人労働者を受入れて違う可能性を見いだせるのか、私達日本人がその選択を迫られるのはそう遠くない将来だと思っています。

個人的には外国人が増えることで多様性が理解され柔軟な働き方ができるようになったり、男性も女性が休みやすい環境ができて出生率が上がるとともに職場復帰も一層しやすくなる環境が構築される等々、プラスの効果がたくさん出てくることを期待したいです。外国人受入れには消極的な意見が多いと思いますが、そのような環境を望んでいる人がほとんどではないでしょうか。