技能実習生の実習実施機関に対する監督指導、送検状況(平成26年)

投稿者: | 2015年10月1日

 
厚生労働省から平成26年の技能実習実施機関に対する監督指導および送検状況が公表されました。
 

実習実施機関に対する監督指導、送検状況

<厚生労働省>
外国人技能実習生の実習実施機関に対する平成26年の監督指導、送検の状況を公表します。

資料にある平成22年からの監督指導実施状況を見た限りでは、監督指導実施事業乗数は一番多いです。そして、労働基準関係法令に違反している事業場の割合は76.0%となっており、違反率はここ5年間をみると毎年70%を超えているのがわかります。

そして違反内容は上位から「労働時間」、「安全基準」、「割増賃金の支払い」、「賃金の支払」となっています。「安全基準」以外は賃金にかかわってくる内容であると考えられます。

そして資料の中にあります技能実習生からの是正申告内容は圧倒的に「賃金不払」についての相談が多く、95%がこの内容に関する相談という事になります。2番目も「最低賃金」に関してですから、お金についての悩みが多いです。
 

監督事例から読み取れる実施機関のスタンス

資料の中には労働基準監督官が監督指導した内容の記載もありますので、その内容から違反している実施機関がどのような考えで技能実習生を受け入れて働かせているかがわかります。

・技能実習生に対し最低賃金を下回る残業代の支払い
・日本人労働者よりも技能実習生の残業時間の方が恒常的に長い
・「技能実習生がお金を欲しいと言うので、仕事を無理矢理作り時間外労働を行わせていた」
・「技能実習生がやりたいと言うから時間外労働をさせていた」
・「時間外労働の割増賃金をまともに支払っていたら元が取れない」
・賃金(基本給)については、事業主が各技能実習生に無断で銀行口座を作成し、毎月入金の上、通帳を保管しており、これらは帰国時にまとめて支払う取扱いとされていた。
・「法定のとおり支払っていると会社経営が成り立たない」
・「帰国の際にまとめて支払えば文句ないだろう」との理由で賃金を全く支払わず

本当に身勝手なコメントばかりであきれてしまいます。自分が逆の立場だったら上記内容を素直に受け入れられるのでしょうか?
 

技能実習制度のあり方が今後問われる

今までも技能実習制度に関しては海外から是正を求める声があがっていますし、実際このような事例を見れば残念ながら安価な労働力としてしか見ていない事業主もいるのがわかります。もちろんこのような事例は一例だと思いますが、このような事業主が存在する事自体がとても残念です。

そしてこれからは「介護」現場においても技能実習生がそう遠くない将来に働きだす事になります。介護の仕事が日本人に不人気な理由の一つとして、賃金水準が低いというものがあります。保険制度が関係してきますからなかなか経営努力で大幅な改善をする事は難しいです。

ですから、言葉のコミュニケーションの問題よりも、日本人以上に人件費を抑えられる、さらには違法行為をしても表面化しにくいと考える事業主がいないとはいえません。福祉の業界ですからそのような事はないと願いたいものですが、今後確実に需要が増える業界なのでいろいろな人が参入してくるでしょう。

昔に比べて先行きが不透明な世の中になった事もあり、労使紛争自体は増加傾向にあります。労働基準監督官が大幅に増員されるという事も考えにくいですし、調査は人の手で行われますから監督指導をする件数にも限界があります。日本人でもそうですが、外国人の場合言葉の問題もあり泣き寝入りする人も少なくないと思います。そもそも法律、ルールを良く理解していない人も多いでしょう。
 

日本のファンが減ってゆく…

昨年発表された龍谷大学のベトナム人技能実習生に対する調査では、来日後日本のイメージが悪くなっている事がわかります。

<産経新聞>
「日本の印象良かった」97%→来日後58%に激減 ベトナム人技能実習生調査 龍谷大

日本に対するイメージから期待感が大きいという事もあったかもしれませんが、来日後印象が悪くなっている理由は実際の生活経験から感じた事です。嫌な思いをする事が非常に多かったからこのように結果になったはずです。そしてそれは事業主が関係する内容がほとんどではないかと思います。

本来は抜本的な見直しが必要な技能実習制度ですがそれがされないままに、10年後に38万人従事者が不足すると試算されている介護の現場で技能実習生が働く事になります。今インドネシアで活動をしていますが、まだ内容が確定していない状況であるにもかかわらず今後人材を日本へ送り込むために日本語学校を設立したり、送り出し機関の申請したりという動きが既にある状況です。一方、日本も人材不足からインドネシアの日本語学校に介護事業者が直接来て人材探しをしているという話も耳にします。本当に今この分野に注目し、豊富な労働力、神座業界にとっては期待できるマーケットとして動き始めている人が多いと感じます。

個人的には双方ニーズがあるのであれば本来そこが結ばれるのはとても良い事だと思っています。しかし制度の設計そのものであったり、実態として受入側に多くの問題が発生している状況で、目がお金になっている人達がいるのがいるというのが問題だという事です。

そして行政もそれを管理しきれる状況ではないですし、結果として技能実習生はもちろんですがサービス業でもある介護の場合、介護を受ける方、さらにつたない日本語で一緒に仕事をさせられる日本人従業員もある意味被害者になりかねません。

運用が始まった当初は特にいろいろな問題が出てくると思います。私は日本に戻ってから現在ウェブサイトとして運営している「すかSUKI」をきちんとした組織にして活動を始める予定です。そして社会保険労務士として開業する予定もあります。

インドネシアと特にかかわりがある人間でありそのような仕事をしている者として、助けを求めているインドネシア人がいればできる限りの事をしてあげたいですし、日本をもっと好きになって帰国してもらえるような活動をしていきたいと思います。

いつまでも上から目線の考え方をしていると、そっぽ向かれて誰も来なくなる日がいつか来るでしょう。