介護離職増加の記事を見て思う事

投稿者: | 2015年6月20日

 

6月17日の朝日新聞に、

「介護離職増加 経済に影」:少子高齢化 労働力人口激減のおそれ

と言うものがありました。(インターネットだと見出しが若干違うようです)

インドネシア留学に至った経緯もそうですし、帰国後の活動も上記の問題に対しての自分なりの解決方法を見出すためのものです。今回の記事を見て改めて自分の活動について考えるきっかけとなりました。

 

退職の選択は想像以上にその後の生活が不安定になりかねない

記事で取り上げられている事例は、52歳の男性が静岡に住む89歳の母親の介護のために離職をしたというものです。概要は、
・4年前に都内の商社を辞めた
・父親は亡くなっており母親は一人暮らしだった
・退職前はたまに早退して介護をしていたが、同僚に対してひけめを感じ退職
・正社員に戻り仕事と介護を両立したいが面接にも進むのも困難
・生活は厳しく退職した事を現在は後悔している
というものです。

記事の内容はまさに典型的な介護離職と言っていいかもしれません。

在職時は介護をしながらなんとか退職しない努力をしていたと思いますが、地理的に離れている場所での介護は移動に時間がかかるのはもちろんですが、肉体的にもかなりハードなものでしょう。

また、現状日本の職場は介護もそうですし育児も含めて長期的に休む事に対する理解を得られないケースが多いのではないでしょうか。「私たちはちゃんと働いているのに…」、「あなたがいない分私達の負担が増えるし、給料も変わらないし…」という考えをもつ人もいるでしょう。

そういう事に対してひけめを感じた結果、最終的には会社や同僚に迷惑をかけたくないという気持ちから退職を選択してしまうと思います。

そして退職後ですが、今回のケースは実家の静岡県の母親のもとで介護をしています。最近売手市場と言われてはいるものの、東京に比べれば求人数は少ないですし、介護をする人はそれなりの年齢になっているのでかなりのスキルを持っていない限りなかなか定職につくのは難しいと考えられます。大手企業に勤めていた、というだけで採用される時代ではなくなりました。

その結果結局期間の定めのある派遣やアルバイトのような形で働くしかなく、生活は楽にならない。というケースが今後も増えていくでしょう。

 

総務省統計局の調査の内容

ではここで、総務省統計局が発表している介護をしている労働者のデータを見てみたいと思います。

平成24年就業構造基本調査 結果の概要

内容を見ると
①介護をしている者のうち、約5割が60歳以上
②介護をしている者の有業率は,男女共に介護をしていない者に比べ低い
③介護をしている雇用者は239万9千人,うち「介護休業等制度の利用あり」の者は37万8千人
④過去5年間に介護・看護のため前職を離職した者は48万7千人,このうち女性は38万9千人で,約8割を占める
となっています。

記事のように介護問題で退職を選択せざるを得ない事だけではなく、老老介護の問題も確実に大きくなっていきます。また、介護をしている者の有業率がしていない者よりも低いのは、記事のケースのように退職し、また再就職も難しい事を表しています。

③から介護休業の利用率の低さがわかりますが、まだまだ介護で休む事に対する理解が浸透していないという事はもちろん、休業がある事自体認知されていないというケースもあるかもしれません。

④については過去5年間のデータのグラフが掲載されています。

過去5年の介護離職

グラフを見ると数は上下しながらも、長期的には増加傾向にある事はわかります。今後少子高齢化が加速するのは確実ですから、何も手を打たなければ介護離職は増える一方なのは間違いありません。

 

介護離職を抑止するための方法には何があるのか?

それでは、この状況を改善する方法には何があるのでしょうか…

一般的には親等に介護が必要となった場合、自分で介護をするのかあるいはそれが難しいのであれば、老人ホームに預けるというのが一般的な選択肢かと思います。ただ、現状預けるにしても場所が足りておらず、また仕事としての介護が不人気である事から預ける場所が足りず、結局預けられないというケースもあります。

今後いろいろな技術が開発され、ロボットが代替する事ができる仕事も増えるでしょう。しかし、相手と触れあい言葉を交わす介護の仕事は必ず人間がやる仕事は残ります。それに対してどの程度の人数が必要となるかです。

将来ロボットが代替する仕事があるにせよ少子化の改善見込みがない日本は、もう外国人労働者にその仕事を手伝ってもらうしか方法はないでしょう。即効性のある代替手段はこれしかありません。仮に少子化が改善するにしても、労働力として考えるには数十年単位の時間が必要です。

外国人受入方法として現在政府では技能実習制度に介護を追加する方向で検討を進めており、これは確実に実現すると思われます。さすがにもう介護人材の不足に対する手段はこれしかない、という判断をしたものと思われます。ただ決して人材不足のためと言わず、あくまでも技術の移転と言う建前ですが。

このように日本人は、老後多くの外国人に面倒をみてもらう事になるのは避けられません。

 

自分にやれる事は何だろう?

今回の記事にある通り、介護離職をしてその後元の生活に戻れるような人はほとんどいないと思います。誰にでもありうる話です。もし記事の人の代わりがいたなら、もっと仕事を続けられた可能性があります。今も働き続けられたかもしれません。

結局のところこのような時に必要なのは、自分の代わりであり、それを何かしらの形で準備できるか、という事です。老人ホーム等の施設もそういう事ですし、訪問介護もそうです。そのサービス(労働力)に対して対価を払っているのです。

ですから、自分以外の誰かがそれをしてくれる環境があれば、割かなければならなかった時間を、他の事に使う事ができます。そしてそれは一般的には仕事に必要な時間であり、その結果今までと変わらず仕事ができるので離職する必要がなくなります。

それに加えて自分自身で介護をする事ができる環境作りとして、介護休業取得者に対する理解も当然必要です。気兼ねなく休めれば介護に専念する事が可能です。これも社会保険労務士としてかかわっていくべき事だと思います。

介護保険制度においては、基本的に日本人が限られたサービスの中で、そしてサービス提供側も法律やルールに制限を受けながら認められているサービスを提供しています。そしてその対価としてお金を支払い他者の労働力を購入しているとも言えるでしょう。

まだ考えがまとまっていない事もありあまり具体的に書けないのですが、私は留学を通じて多くのインドネシアの人達と繋がりを作ってきました。そして彼らの中には日本での生活に憧れている人が少なくなりません。ですから彼らの想いと私達日本の状況を繋ぎ、双方にとってハッピーになれる方法はないだろうかと常に考えています。

介護人材不足、介護離職、人口減少による空き家増加、コミュニティー、異文化交流等々、キーワードベースであればできそうな事は考えているので、これをもっと具体的な形にしていきたいと思います。イメージしている事を実現する為には日本人ではない彼らに理想としている事ができるのか、というのが一番自分の中で障壁となりそうなことであると考えています。

外国人が比較的遠い存在だった日本ですが、円安である事もあり外国人観光客が増えて少しは身近な存在になっているようにも思います。

私が考えている活動に興味があるインドネシア人、日本人がどんどん参加してもらって問題改善のひとつのケースになっていけば双方ハッピーなわけですから、これ以上の理想はありません。

また8月頃からインドネシアに行った際は、具体的に話をしてくる予定ですのでもっと詰めていきたいと思います。