厚生労働省が厚生年金の加入逃れ調査を強化

投稿者: | 2016年2月14日

 
先月の報道ですが、厚生労働省が現在厚生年金に加入しなければならないにもかかわらず、加入していない会社の調査を強化する方針を打ち出しました。

 

<日本経済新聞>
厚生年金未加入疑い、17年度末までに全事業所調査 首相指示

法人または個人事業でも5人以上の従業員がいる場合は厚生年金に加入しなければなりません。しかし、2015年9月時点で79万か所の調査対象先があるそうで、2014年4月から調査を実施しているものの進捗としては4分の1程度のようです。

少子高齢化により年金受給者が増えるため加入に対しての指導を強化し、年金の財源となる保険料の徴収をしていくのが目的と考えられます。

 

本来はどれくらいの保険料を負担すべき?

今回の報道から、あらゆる手段により将来不足するであろう年金財源を確保していくアクションを起こしていくように思えます。しかし、本来は法律によって厚生年金に加入しなければならない場合、する必要が無い場合というのがはっきりと決まっているわけですから、それが適切に運用されていなかった。そしてその結果により、これほどの規模の調査をしなければならなくなっているというのも事実です。

平成28年2月現在の厚生年金保険料は最低でも8,736円。通常社員として働いているのであれば最低でも200,000円程度の給料はもらうと思いますので、その場合の保険料は17,828円となります。仮に社長を最低報酬、低水準の給料をもらって働く従業員がいると月額で2万円程の厚生年金保険料がかかってきます。

また、厚生年金に加入するということは、健康保険も健保組合あるいは協会けんぽに加入する事になり、これも健康保険料を支払う必要があります。その場合の最低額は、上記と同様にあてはめると2,891円、9,970円となり、約1万円の保険料負担が発生します。
(※健康保険料は介護保険に加入していない40歳未満の金額。)

 

そもそも調査を大々的にするのはおかしい

金銭的な負担が増えますからできれば加入しないでそのままにしたい、と考えている会社もあるものと思われます。そして今まで問題が無かったためそのままにしているのかと思います。しかし、本来法律では加入しなければならないものですし、何も言われていないから加入しないというのは通らない話です。

一方、記事を見ると対象となるのは零細企業が多い見込みのため、経営に配慮して保険料を督促していく方針のようです。本当は払う必要があるものを払っていないのですから、もっと強制的な徴収も可能なはずです。しかし、そこで働いて給料をもらい生活している人もいるわけですし、保険料負担で倒産する会社が無いとも言い切れません。そこが国としても無理に徴収できない理由です。

社会保険に加入した方が対外的な会社の信用度は上がりますし、良い人材の採用にもつながります。厚生年金への加入要件を知っている人が未加入状況を知ったら入社したいとは思わないでしょう。

法律を守らず加入していないのは問題ですし、指導があったら加入へ向けての計画を考えなければならなりません。本来これほどまで多くの未加入が起こっている事、調査を実施しなければならない事自体ががおかしい話です。国としても加入要件の徹底ができていないのかもしれませんが、未加入の会社はその状況について指摘を受けたことは何かしらのタイミングであると思われます。

最近はSNS等を通じて、何か問題があると一気にそれが拡散されてしまい企業イメージを損なう事に繋がることがあります。このような違法行為も内部あるいは外部の人がいつ発信するとも限りません。法律を守っていない以上「うちの会社は加入しない」という論理は通らず、確実にブラック企業の烙印を押されるでしょうし、自主的に対応を検討すべきかと思います。