中小企業の人事実務(給与計算編)

投稿者: | 2014年3月15日

 

今回は給与計算の実務について書いていきたいと思います。

 

給与計算結果は必ず正しいものを作成しているか?

雇用されている人が楽しみにしているものが「給与」だと思いますが、この毎月もらう給与。必ず正しい金額が支給されているでしょうか?答えは、正しくない金額が支給されている会社がほとんどではないでしょうか。ただこの正しくないにもいくつか考えられるので述べて行きたいと思います。

【労働基準法による時間管理がされておらず結果として支給額が異なる。】
100%法律に則った給与計算は非常に困難だと思います。労働基準法では労働時間は「分」単位で管理するとされています、この管理は日々の管理です。しかし、実務上15分単位であったり30分単位で管理しているケースは珍しくありません、というか中小企業ならこういうケースが大半でしょう。この時点で正しい給与計算はできません。休憩の管理も厳密に法律通りに管理できている会社はほぼないでしょう。

【法律に則った計算がされていない】
割増賃金の計算等法律で定められた方法で計算されていない、計算ベースに含めるべき金額が含まれていないというケースも考えられます。

【会社独自のルールにより給与計算が行われる】
仮に労働時間を日々1分ごとに管理していたとしても、会社として毎月残業代は○時間分が上限だとか、本当に業務に必要だったとしても上司の許可なく残業していた場合は支給しないとか、いろいろなケースが想定されます。

【法律に則った計算がされていない・給与計算方法が間違っている】
小さい会社の場合は手計算という会社もまだあるかもしれません。手計算でなくとも給与計算ソフトを入れるまでもないのでエクセルで計算しているが式が間違っている。そして給与計算ソフトやシステムを導入しているが、その設計において時間管理方法が法律違反である。このようなケースもあります。

そもそも論なんですが、自社でやっている場合は別として、違法の計算式を設計できるシステムを販売していること自体が問題なのではないか?と思います。労働基準法では労働日数や、労働時間の表記が義務付けられていたり、上記のように時間管理方法が定められているわけですが、会社独自の判断により違法の内容でも給与計算ができてしまうことに問題がある、ということです。

仮に設計できなくしても支給段階で調整する会社はあると思いますが、それはその会社の問題です。昨今の不払い残業の問題もここを行政が指導するとかすれば多少なりとも改善するような気もするのですが、それができないのは何でなのかなと思わざるを得ないですね・・・。そうしてしまうと販売会社が商品を売りづらくなる、というのは考えられます。労基署の監査において利用している給与システムのベンダーを確認してベンダー側を指導する、というのは行われていないのでしょうか?川下だけでなく川上の改善対応も必要なのではないでしょうか?

【労働時間が給与計算に反映されない】
タイムカードの打刻はすれど形式だけ。毎月一定の給与が支給される、という会社もあります。

【入力ミスや勘違い等のヒューマンエラー】
忘れもしない大学時代のアルバイト。支給額不足を社員の方に指摘し翌月に調整支給されるはずが、まさかの調整控除。おかげで2ヶ月本来より少ないお金での生活をする必要がありました。人が手入力をするようなイレギュラーケースの場合はこういうこともありえます。

【法改正や保険料率の変更が反映されていない】
これもヒューマンエラーのケースが考えられますが、データ更新をしていない、料率変更をする際に入力ミス。結果給与計算位誤りが生じるということは考えられます。料率変更でミスをするとほぼ全員に影響しますから、これは自分で間違ったとはいえ担当者は涙目です・・・。法改正が多いと嫌になりました。

まだまだここに例としてあげきれていないものもあると思います。

 

担当をしていた時の話と給与処理からわかること、対応すべきこと

私が初めて給与計算に関わったのは人事として入社した会社です。前任者の退職は決まっていたので確か2ヶ月分の給与計算だけを一緒に処理した記憶があります。ちなみに使っていたのは「給与奉行」お馴染みの奉行シリーズです。

初めてやるわけですから簡単なはずもなく、社労士の試験勉強はしていたわけですが当然給与計算は守備範囲外。中途入社とは言え新入社員のようにいちから教えてもらったという状況です。

<難しい、大変と思ったこと>
・所得税、住民税といった法律が関わってくるので、その内容と給与計算に同反映されるのかを理解する必要がある
・理解した内容がどう給与計算ソフトに設定されており、どう反映されているかを理解する必要がある(法律理解だけでは不十分)
・残業時間や休日の考え方、支給の考え方を理解する必要がある(独自ルールがありました)
・月に一度しかないのでなかなか処理方法が頭に入らない(ちなみに年末調整は年に1回なのでなおさらでした)
・給与計算のサイクルは1年なので、他にわかる人がいなければ全て自分で調べる必要がある(顧問税理士や行政に聞いたりネットで調べました)
・わかったつもりでいたけど、初めて自分だけでやるときにちゃんとわかっておらず愕然(特に給与計算ソフトの理解)

とこのような感じでした。

何だかんだで慣れるのに半年はかかった気がします、入社して3回目の給与計算が終わったら年末調整となれる前に大仕事がありました。そして年が明けたら給与支払報告書の提出とか支払調書の作成とか、どう乗り切ったか記憶していないくらいてんてこまいだったと思います。もし年末近くに初めて担当する方はご注意を。

と、このような感じで何も知らないまま担当したときは大変苦労しました。規模の大きい会社なら分業制でわかる人が他にいると思いますが、小さい会社だと私のような経験をされた方もいると思います。3年半程の経験の中で何度も処理を誤りました。その際は翌月に調整するので・・・と謝罪の上理解を求めました。自社であればこうでいいのですが、他社の計算を請け負っている会社だとこれをやってしまうと大変だそうで。いずれにしてもミスがないのが当たり前、と考えられてしまう仕事なので処理に注意深さが必要です。

いろいろと給与に関する問題も世間をにぎわせていますが、仮に全ての会社が法律通りの給与計算を行いその額を支給すると確実に総賃金額は上昇するでしょう。そうすると会社の経営が成り立たなくなる会社も間違いなくでてきます。この前国会でも話題になった「最低賃金で募集」をする会社はもちろんありますし、合法なわけですから何ら問題はありません。逆に募集賃金を上げたことで人件費が経営を圧迫し、リストラをする人数が増えてしまうことだって考えられます。

もちろんこれはちょっと・・・と思うようなおかしい、違法な処理方法があれば担当者として会社に改善提案をすべきだと思います。顧問の税理士や社労士に相談するのも良いかもしれませんが、会社から報酬をもらっている身ですので最終的には担当者またはその上司からという形の方がベターかと。仮に行政の監査が入れば違法な状況は当然指摘され是正を求められます。確かにバレなかったら払うことなく済むかもしれませんが、バレたら最大2年間遡って支払いをしなければならないケースもありえます。想定していなかったお金をまとめて用意できない、ということも十分考えられます。その時「何で言わなかったんだ?」と責任を追及されることもあるかもしれません。ですから担当者としては知らないふりではなくきちんと指摘するべきです(したらしたでうるさいと思われる可能性もありますが・・・)。単純に知らないケースもありますし、これも仕事のひとつだと思います。

正直担当業務の中では苦手な方でした、個人的に細かい作業はいまいち向いてないのかな、と思ってます・・・。